「あー、今日もつかれたー><」
午後10時。仕事からかえってきた亜未は、13cmのヒールを脱いで玄関をかけあがる。
着がえも済まさず、ふりふりのピンクのカバーがかかったベッドへぼふっと飛び込むと、
人形劇でも開けそうな数のぬいぐるみたちが跳ね上がり、亜未を迎える。
25歳にしてはちょっと可愛らしすぎる部屋にもどると、ふうっと一息ついた。
地味目でコンシャスなOL系コンサバ服が毎日の仕事着になっているけれど、
もともと亜未はフェミニンで可愛らしい、リボンやレースがついたフリフリひらひらな服が大好き。
そんな趣味服は、同僚や友達にはあまりみせられないけれど・・・。
部屋が可愛いくらいなら、友達や彼氏も笑ってすましてくれるが、
さすがに外出時の服装にそのような「少女趣味」な格好をしていくわけにはいかない。
いい年して「変わった人」「不思議ちゃん」「コスプレ好き」なんて思われたくはないし
まとまった時間ができたときには、大好きなふりひらロリータ服をきて
一人ファッションショーをすることで、亜未のひそやかな趣味はようやく消化されているのだった。
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